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2026/10/07

首都高10月値上げ「普通車2,130円上限」を前に——高速料金コストの社内共有・承認フローを見直す実務ガイド

2026年10月1日から、首都高速の軽・二輪車と普通車の通行料金が約10%引き上げられます。普通車の上限料金は現行の1,950円から2,130円へ。一度の通行では「たかが180円」と感じるかもしれませんが、営業車や現場往復の多い法人では、年間で見ると無視できない差になります。

制度の変更内容そのものはすでに各所で報道されていますが、「では社内の経費管理をどう直すか」という実務の話はあまり整理されていません。精算ルール、上限金額の設定、予算の組み直し、ETCカードの使い方——このあたりを今のうちに手当てしておかないと、10月以降に現場と経理が混乱することになります。このコラムでは、中小企業・個人事業主が今すぐ取り組める実務の手順を具体的に解説します。

目次

  1. まず現状を把握する——自社の首都高利用をざっくり数値化する
  2. 精算ルールと上限金額の見直しポイント
  3. 年間予算の組み直しと経費転嫁の実務
  4. ETCカードの管理体制を整えるタイミングとして活かす
  5. 今後の見通し
  6. まとめ

1. まず現状を把握する——自社の首都高利用をざっくり数値化する

経費フローを見直す前に、「そもそも自社が首都高をどれくらい使っているか」を数字で確認しておく必要があります。ETCカードの利用明細をもとに、以下の項目を集計してみてください。

  • 月あたりの首都高通行回数(車両別・ルート別)
  • 現在の平均通行料金(普通車・中型車など車種ごと)
  • 月間・年間の首都高通行費合計

ETCコーポレートカードや協同組合型ETCカードを利用している場合、管理ポータルから車両ごとの明細を一括で抽出できることが多いです。クレジット個人カードを立替精算で使っている場合は、レシートや明細の突合が必要になります。後者は集計だけで手間がかかるため、このタイミングで法人一元管理への移行を検討する価値があります。

集計ができたら、「10%値上げ後の増加額」を試算します。たとえば普通車が月100回、平均1,500円で通行しているとすると、月15万円→約16.5万円、年間で約18万円の増加です。車両台数が多いほど、この差は大きくなります。

2. 精算ルールと上限金額の見直しポイント

高速道路代の社内精算で「上限○円まで承認不要」「○円超は事前申請」という社内規程を設けている会社は少なくありません。首都高の上限料金が引き上げられることで、これまで「承認不要の範囲内」だった通行が、規程の上限を超えるケースが出てきます。

たとえば社内規程で「1回の高速料金が2,000円を超える場合は領収書提出と事前申請」と定めていた場合、2,130円の通行が毎回申請対象になります。件数が多ければ、承認者も申請者も余計な工数がかかります。

見直しの優先度が高いポイントは次の3つです。

  • 上限金額の引き上げ:精算規程に記載している「承認不要の上限額」を、新料金体系に合わせて更新する。首都高普通車の上限が2,130円になることを踏まえると、2,200〜2,500円程度に設定しておくと現場の申請工数が抑えられます。
  • ルート記載の義務化:値上げ後は「なぜそのルートを通ったか」を確認したくなる場面が増えます。利用したIC・経路をシンプルに記載する運用を徹底しておくと、後の経費精査がスムーズです。
  • ETC明細との突合:精算書とETCカード明細の金額が一致しているかを確認する手順を明文化しておく。不一致が発生した場合の処理フローも合わせて整備しておくと、監査対応でも役立ちます。

3. 年間予算の組み直しと経費転嫁の実務

10月改定を受けて、今期・来期の高速道路費用の予算を見直す必要があります。特に現場配置が多い建設業や、エリア担当を置いている営業会社では、変動が大きくなりやすい項目です。

予算組み直しの考え方

直近の首都高通行費(半期または1年分)をベースに、普通車分については1.1倍を目安に増加を見込んでおくのが現実的です。ただし、実際の改定率は通行距離・ルートによって異なるため、「上限料金の差額×回数」で計算するより、現行の平均料金×1.1で月次の概算を出すほうが簡便です。

中型車・大型車については、2027年7月1日の改定が確定しているため、来期以降の予算では別枠で増加分を積んでおく必要があります。こちらの値上げ幅は現時点でまだ公式発表がないため、首都高速のホームページや公式リリースで最新情報を確認してください。

顧客・取引先への経費転嫁

運賃・工事費に高速道路料金を実費精算として組み込んでいる場合、改定後の料金をそのまま反映できるかどうかを事前に取引先と確認しておく必要があります。特に長期契約や単価固定の案件では、改定を理由にした費用増加を盛り込む交渉が必要になる場合があります。

実務的には、以下の手順で進めるのが現実的です。

  1. 現行の請求書・見積書で「高速道路料金」をどう扱っているか確認する(実費精算か込み込み単価か)
  2. 実費精算の場合、改定後の料金が自動的に反映されることを取引先に事前通知する
  3. 込み込み単価の場合、単価見直しの交渉または条件変更の合意書を取り付ける
  4. インボイス対応(適格請求書への記載)が必要かどうか、高速料金の取り扱いを確認する

「値上げが決まっているから費用が増える」という説明は根拠が明確なため、取引先への説明材料としては使いやすい類に入ります。改定の公式資料(首都高速道路株式会社の発表)を添付するだけで、交渉の足がかりになります。

4. ETCカードの管理体制を整えるタイミングとして活かす

高速料金が値上がりするタイミングは、ETCカードの管理体制を整備する好機でもあります。料金が上がれば使い方の可視化・最適化のリターンも大きくなるからです。

バラバラ管理が招くコスト漏れ

複数台の車両を持つ法人で、ドライバーが個人クレジットカード紐付けのETCカードを自己管理している運用は、以下のリスクがあります。

  • 高速料金の利用明細が車両・ドライバー単位で一元化されておらず、割高なルート利用に気づけない
  • 大口・多頻度割引の適用要件(車両登録・利用額の閾値)を達成できていない
  • ETCマイレージのポイントが個人に帰属し、法人として回収できない

法人用のETCコーポレートカードや協同組合型ETCカードに集約すると、車両ごとの明細管理・割引の集中適用・インボイス対応がまとめて整理できます。首都高の値上げで月々の通行費が増えれば、大口・多頻度割引の適用ラインを超える可能性も高まります(適用には事前登録と一定の利用実績が必要です)。

ETC専用化の進行と未搭載車両のリスク

首都高は2026年度に新たに44か所(累計134か所)の料金所をETC専用に切り替えます。現金・一般レーンのない出口・入口が増えるということは、ETC未搭載車が料金所を通過できない事態が現実に近づいているということです。

なお、2026年7月8日〜10月30日には新規取付を対象にした助成キャンペーン(NEXCO3社・首都高、最大10,000円)が実施中です。対象は新規取付のみで、車載器の買い替えや新車購入時には適用されません。古い車両でETC未搭載のものがあれば、キャンペーン期間内に搭載を済ませると費用を抑えられます。搭載後のカード選択も含めて、法人管理の観点で最適な組み合わせを選ぶとよいでしょう。

5. 今後の見通し

ここでは、現在確認できる情報をもとに、今後の動向を整理します。断定ではなく、根拠に基づく見通しとして参照してください。

中型車以上の値上げ(2027年7月)は既定路線

首都高速は、中型車・大型車・特大車の料金改定を「物流2024年問題」への配慮から9か月延期し、2027年7月1日からの実施と発表しています。延期されているだけで、改定そのものは取り消されていません。運送業・建設業で中型車以上を多く使う企業は、2027年7月に向けた予算積み立てと運賃転嫁の準備を、今から並行して進めておくことが現実的な対応といえます。

深夜割引の「走行分のみ」見直し、開始時期はまだ不確定

深夜割引の仕組み変更(22時〜翌5時・走行分のみ・後日還元型)については、2026年8月時点で開始日が未確定のままです。当初2024年度末の予定が複数回延期されており、システム構築の遅延と後日還元型という抜本的な仕組み変更の実装難度が影響していると考えられます。

現行の「0時〜4時の料金所通過で割引適用」という仕組みは、実施時期が決まるまでは継続します。ただし、見直し後は走行時間の分単位管理が必要になるため、運行ルートとスケジュールの再設計を早めに検討しておくことが得策です。開始時期が突然確定した場合、準備期間が短くなる可能性があります。

ETC専用化の加速で、未対応車両の不利は拡大する一方

首都高の134か所ETC専用化は2026年度内に予定されており、その後もNEXCO各社で専用化の拡大が続く方向です。現時点で法人保有車両にETC未搭載のものが残っている場合、通行できない出口・入口が増えるリスクは年々大きくなります。2026年10月末のキャンペーン終了後は、助成なしで取付費用を全額負担することになるため、複数台を管理する法人ほど今の窓を活用する実益があります。

6. まとめ

首都高の普通車値上げ(2026年10月)は、単なる「料金が上がる話」ではなく、社内の精算ルール・予算・ETCカード管理体制を一度点検する機会です。具体的には、精算規程の上限金額の更新、年間予算の再計算、取引先への費用転嫁の確認、ETCカードの法人一元管理への移行、ETC未搭載車の早期対応——この5つを優先して手当てしておくと、10月以降の現場混乱を最小限に抑えられます。

中型車以上は2027年7月の値上げが控えており、深夜割引の見直しも時期未定のまま進行中です。制度が重なる局面だからこそ、個々の対応を場当たり的に進めるより、ETCカードの管理体制を整えて割引を確実に取る体制を先に作っておくほうが効率的です。

自社の高速料金を車両ごとに比較したい、どのETCカードが自社の使い方に合っているか確認したいという場合は、ETC協同組合比較ナビのカード比較・減額シミュレーションが参考になります。複数カードの条件を並べて確認できるため、切り替え検討の入口として活用してみてください。

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