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2026/09/14

物流2026年問題×高速料金コスト削減——特定荷主・運送会社が今すぐ見直すべきETC活用戦略

2026年4月、改正物流効率化法が施行された。年間9万トン以上の貨物を扱う「特定荷主」にCLO(物流統括管理者)の選任や中長期計画の策定が義務づけられ、物流コストの「経営課題化」がいよいよ法律レベルで求められる時代に入った。運送会社にとっては荷主からのコスト圧縮要求がさらに強まる局面だ。

こうした状況で見直しの優先度が上がっているのが、高速道路料金のコスト管理だ。燃料費と並んで運送コストの大きな柱でありながら、ETC割引制度の活用やカード選びによって削減余地が意外と残っている。この記事では、物流2026年問題を背景に、特定荷主・運送会社が今すぐ手をつけられる高速料金コスト削減の実務ポイントを整理する。

目次

  1. 改正物流効率化法で何が変わるか——高速料金コストへの直接影響
  2. 高速料金コスト削減の「3つの柱」——制度・カード・ルートを整理する
  3. 特定荷主・CLOが押さえておくべき高速料金の「見える化」実務
  4. 今後の見通し
  5. まとめ——物流2026年問題は「高速料金の見直し着手」の好機でもある

1. 改正物流効率化法で何が変わるか——高速料金コストへの直接影響

改正物流効率化法(正式名称:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の改正)は、2024年5月に成立し、2026年4月から段階的に義務規定が適用されている。

制度の骨格は大きく2点だ。

  • 特定荷主への義務化:年間9万トン以上の貨物を委託する荷主企業は、CLO(Chief Logistics Officer=物流統括管理者)の選任、物流効率化に関する中長期計画の策定・報告が求められる。
  • 特定事業者(運送会社)への義務化:一定規模以上のトラック事業者も、自社の物流効率化計画を策定し、主務大臣への定期報告が必要になる。

高速料金との関係で重要なのは、「ルート最適化」「共同配送」「モーダルシフト」といった効率化手段が、法律上の評価指標に組み込まれる点だ。高速道路の利用判断が「速さ」だけでなく「コスト対効果」「CO2削減への貢献」を含めた複合的な基準で問われるようになる。特定荷主側から「高速利用の合理化」を求める声が強まることも十分想定される。

結果として、運送会社が荷主に提示する運賃内訳の中で、高速料金の明細・削減努力がこれまで以上に重要な交渉材料になる局面が増えそうだ。

2. 高速料金コスト削減の「3つの柱」——制度・カード・ルートを整理する

高速料金の削減手段は、大きく3つに整理できる。制度の活用、カードの選択、そしてルート・時間帯の最適化だ。それぞれの現状と実務上のポイントを確認する。

①割引制度の活用——大口・多頻度割引とETCマイレージ

法人・運送会社向けの主要な割引制度として、まず押さえたいのがETCコーポレートカードを使った大口・多頻度割引だ。

この割引は、NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)が管理するすべての本線料金所でのETC利用実績を1カ月単位で集計し、走行金額に応じて最大40%の割引が翌月に適用される仕組みだ。割引率は月間の走行金額が多いほど高くなる逓増型で、複数台を保有する運送会社ほど恩恵が大きい。

2030年度末に向けて割引率が段階的に縮小される方針が示されているため、現行の最大40%割引が適用される期間を最大限に活用しておくことが、今の実務上の優先事項になる。

もう一つの柱がETCマイレージサービスだ。ETCコーポレートカードには適用されないが、協同組合型ETCカードや個人・法人クレジット系ETCカードでは、走行実績に応じてポイントが貯まり、料金に充当できる。深夜割引の改定後(走行分のみへの切り替え実施後)は、マイレージ経由での後日還元が深夜割引の受け取り方になる予定で、登録の有無が年間コストに直接響く。

②カードの選択——協同組合型ETCカードの実務上の位置づけ

法人・個人事業主がETCカードを選ぶ際の主な選択肢は、クレジット一体型、協同組合型(高速情報協同組合・ETC協同組合など)、ETCコーポレートカードの3系統だ。

協同組合型ETCカードの特徴は、クレジット審査不要で発行できる点と、カード費用が走行実績に関わらず一定(月額・年会費制)である点だ。クレジットヒストリーに不安がある法人や設立間もない会社でも発行しやすく、台数が増えても管理コストが読みやすい。

一方、大口・多頻度割引の適用にはETCコーポレートカードが必要で、協同組合型カードではこの割引は受けられない。月間の高速走行金額が一定規模を超える事業者は、ETCコーポレートカードへの切り替え・併用を検討する価値がある。

カード選びの判断基準を簡単に整理すると、以下のようになる。

カード種別 大口・多頻度割引 発行のしやすさ 向いている事業者
ETCコーポレートカード 対象(最大40%) 一定の審査あり 月間走行金額が多い運送会社・大型事業者
協同組合型ETCカード 対象外 クレジット審査不要 設立間もない法人・クレジット審査に不安がある事業者
クレジット一体型ETCカード 対象外 クレジット審査あり 走行頻度が低めの法人・個人事業主

③ルート・時間帯の最適化——割引時間帯との組み合わせ

現行の深夜割引(午前0時〜4時)は、2026年度以降に「走行した時間帯分のみ」の割引へ切り替わる予定だが、NEXCO3社は2025年10月に「令和8年度以降に延期」を発表しており、現時点で正確な実施時期は未定だ。当面は現行の深夜割引が維持される。

この制度が変わる前に確認しておきたいのが、夜間運行スケジュールと割引時間帯の重なり方だ。深夜割引の適用条件は「料金所の通過時刻」ではなく「走行区間の一部が対象時間帯内にある」かどうかで判定されるため、出発・到着の時間設定を見直すだけで適用の有無が変わるケースがある。

また、平日朝夕割引(6〜9時・17〜20時)は普通車・軽自動車が対象で、トラック等の大型車には適用されない点も確認が必要だ。適用対象外の時間帯・車種で走行している場合、どの割引が実際に効いているかを改めて整理しておくと、無駄な通行を避けられる。

3. 特定荷主・CLOが押さえておくべき高速料金の「見える化」実務

改正物流効率化法の義務化対象となる特定荷主(年間9万トン以上)には、物流コストの把握・改善計画の策定が求められる。その中で高速料金の「見える化」は、意外と後回しにされやすいポイントだ。

クレジット一体型や複数のカードが混在していると、高速料金の利用明細が個々のカード明細に分散し、合計額の把握に手間がかかる。ETCコーポレートカードを使えば、利用データをNEXCO所定の形式で取得でき、車両ごと・月ごとの走行実績を一元管理しやすい。CLOが物流コストの改善計画を策定する際の基礎データとして活用できる。

インボイス制度への対応という観点でも、ETC利用証明書・明細書の取得方法をカード種別ごとに把握しておく必要がある。協同組合型カードの場合は組合が領収書・明細を発行するケースが多く、インボイス番号の確認を忘れずに行いたい。

4. 今後の見通し

物流2026年問題を受けた高速料金コスト管理の注目度は、今後さらに高まる可能性が高い。その根拠として、以下の3点を挙げておく。

①荷主からの削減圧力の強まり:改正物流効率化法により特定荷主がCLOを選任して物流コストを経営課題として管理する体制が義務化された。荷主側のコスト意識が制度的に底上げされる中で、運送会社に対して高速料金の合理化・明細提示を求める動きが広がる可能性がある。すでに大手製造業・流通業では、委託運送会社への「コスト削減ロードマップ提示」を求めるケースが出始めているとも指摘されている。

②大口・多頻度割引の縮小スケジュール:ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引は、2030年度末に向けた段階的縮小が決定している。現行の最大40%割引が適用される期間は限られており、走行実績が多い事業者ほど「今のうちにETCコーポレートカードへ切り替えて最大割引を享受しておく」判断が合理的と考えられる。割引縮小の具体的なスケジュールは国土交通省・NEXCOの発表を随時確認する必要がある。

③深夜割引の制度変更に向けた準備の必要性:深夜割引の「走行分のみ」への切り替えは令和8年度以降に延期されているが、制度自体が廃止されるわけではなく、方向性は変わっていない。切り替え後は割引の受け取りがETCマイレージ経由の後日還元になる予定のため、マイレージ未登録の事業者は早めに登録を済ませておくことが望ましい。登録は無料で、対応していないカード種別(ETCコーポレートカードなど)もあるため、自社のカードが対象かどうかの確認も合わせて行いたい。

いずれも「すぐ決断しなければ損をする」という性格のものではないが、制度が動き始めてから対応しようとすると手続きや審査に時間がかかる。物流2026年問題が現実の経営課題として重みを増す今、高速料金の管理体制を一度棚卸しするタイミングとして捉えておきたい。

5. まとめ——物流2026年問題は「高速料金の見直し着手」の好機でもある

改正物流効率化法の施行は、運送会社にとっては荷主からの圧力増大という側面を持つ。しかし同時に、これまで後回しにしていた高速料金コストの管理体制を整える「外部からの後押し」として活用できる局面でもある。

  • ETCコーポレートカードへの切り替えで大口・多頻度割引を最大限活用する
  • ETCマイレージサービスに登録し、深夜割引の制度変更後もスムーズに還元を受ける体制を整える
  • カード・明細を一元化してCLO向けのコストデータを整備する
  • 走行時間帯・ルートを割引制度と照らし合わせて無駄を洗い出す

これらは大規模な投資を必要としない実務改善だ。法律対応のために動き始めるこのタイミングに合わせて、高速料金コストの棚卸しを進めてほしい。

自社の高速料金負担がどのカード・割引で最も抑えられるかは、走行規模や車両台数によって変わる。ETCカード比較・減額シミュレーション(etckumiainavi.com)では、協同組合型・ETCコーポレートカードを含む主要カードを並べて比較できるので、見直しの入り口として活用していただきたい。

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